芸能人が反対している検察庁法改正法案とは!

コロナ禍で国民生活が大打撃を受けている最中、議論がこれだけ紛糾することになった事の発端は、今年(2020年)1月31日の閣議決定です。

政府は、1月31日に東京高検黒川弘務検事長の定年延長を国家公務員法の解釈変更というかたちで閣議決定しました。

そして、その後検察庁法を大きく変える改正法案が提出されたわけですが、なぜこのような時期に、しかも今まで準備されてきた法案とまったく異なる唐突な法改正となったのかについては、どうも黒川検事長を次期の検事総長にするためではないか、あるいは解釈変更を後付で正当化するためではないのかといった憶測が渦巻いています。その理由はこうです。

検察庁法22条は、「検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。」(第22条)と規定しています。きわめてシンプルな規定です。これは、検察官が犯罪を起訴する権限を独占し(国家訴追主義)、しかも起訴・不起訴の広範な裁量権(起訴便宜主義)をもっていることから、人の裁量が一切入らない年齢という客観的基準で定年を決め、検察権に対する政治的な影響を制度的に排除するということを目的としています。

しかし、閣議決定後の人事システムを見ると、定年延長…世の中どの業界でも定年延長されているので、当たり前通る方も多いと思います。

ただ、上記の検察庁法22条のように権限を独占しないようにという事や人の裁量が一切入らないという基準で定年を決めて、政治的な影響を制度的に排除するということを目的は守られているでしょうか?

図に明らかなように、出来上がった法案では、人事院の影がすべて消されています。現行の(図1)と比べれば一目瞭然ですが、すべての検察官に内閣あるいは法務大臣の人事裁量が及ぶような仕組みになっています。

 そもそも、検察官の任免権は法務大臣が持っていて、内閣が検察権の行使については国会に対して責任を負うことになっています。しかし、検察権は法の厳格、公平公正な執行という意味では司法権と密接な関係にあり(憲法77条2項は、「検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。」としています)、検察権の行使が時の政党の恣意的な判断によって左右されるようなことがあれば、法に対する国民の信頼が地に落ち、国家の土台が崩れることになりますから、検察庁は法務大臣からは一定程度独立した組織として位置づけられています。

 法務省内に設置された特別な機関としての検察庁と、検察権の独立という2つの課題に配慮して、検察庁法は〈法務大臣は検察官を一般的に指揮監督するが、個々の事件については検事総長のみを指揮する〉という指揮権についての規定を置いたわけです(検察庁法14条)。つまり、検事総長がいわば緩衝帯として機能することによって、法務大臣の権力がダイレクトに個々の検察官に及ぶのを防止しようというわけです。なかなかよく考えられた仕組みだと思います。

 このような観点から見ると、今回の改正案は、すべての検察官に対して内閣あるいは法務大臣の強い影響力が直接及ぶのを認めるような内容になっているといわざるをえません。現行では、検察官は、検察官適格審査会の職務不適格議決か、職務上の義務違反などによる懲戒免職以外では検察官を辞めさせることができませんが、定年を延長するかどうか、つまり退官させるかどうかという重大な問題に政治的判断が絡まる危険性があるということは問題なくいえるかと思います。

 定年の延長や役職の延長について、内閣が非常に強く関与する制度に反対!